研修報告 「これからの精神看護学を考えよう」

8月のおわりに、職場から日本精神科看護協会の研修に参加させていただきました。
精神科に働く中堅看護師を対象とした研修で日頃の病棟の勤務を一歩離れて自身を振り返る良い機会となりました。

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例のごとく・・・、研修レポートほぼ、そのままのアップです。



 本研修では、精神科病棟で中堅的な役割を担う看護師を対象として臨床での体験を交えながら
「これからの精神看護学について考えてみよう」という内容でした。
講師は森ノ宮医療大学保健学部教授の来栖清美先生です。

 研修の流れは次のようになっていました。

・はじめに
  自己との対話の中で二つの事柄について自分自身を振り返りました。

  ①日々の実践で感じている事、考えている事
  ②日々の実践における役割・専門性

・これまでの精神看護学
  健康の定義、精神看護の定義から入り、その変遷と理論・モデルを振り返りながら現在の看護を認識しました。

・精神保健医療福祉の動向
  チーム医療、訪問看護など病院から地域へと患者に対する支援体制が移りつつあることをレクチャーしていただきました。

・これからの精神看護学
  昼食後、グループワークにて幾つかのテーマに分かれて自由に考えを述べ、ディスカッションしました。

・おわりに
  はじめにの「自己との対話」を踏まえて、研修を通して最後に自分がどう変わったか。
どのように今の臨床で看護を実践していこうと考えたのかを再び振返り研修は終了となりました。



研修を終えての感想

 今回の研修では、何か知識を得て持ち帰る研修とは異なり、自分自身を見つめなおす良い研修となりました。まず、研修最初の「自己との対話」の中で、私が日頃の実践で感じている事として、退院できる患者がもっといるのではないか、要介助者以外の患者はほぼ放置状態なのではないか、ルーチンワークで大半の時間が占められていて患者とじっくり関わる時間がない、何かを変えようとするとできない事を強調する意見が多く、できる事を前提とした前向きな意見が出にくい(出る杭は打たれる)など…、そんな思いが頭の中に浮かびました。また、役割と専門性では、入院患者の退院調整、入院・療養生活を有意義に過ごしてもらえるよう努める(その患者にとって本当に良い場所はどこなのか)などが浮かびました。日々の仕事に流されがちになり、目指したいものを諦めかけている、守りの世界に入っているのではないか、理想と現実、自分が目指したいものと現状のギャップというものを少し認識できたように思います。

講師の先生は、中堅という立場は、臨床の現場を良い方向にも悪い方向のどちらにも変えることができる存在であるとおっしゃっていました。なんだか、この言葉にハッと我に返ったような思いになりました。少し反対意見や辛口の意見をいただいた時に気持ちが滅入っている場合ではないと感じました。
先生のお話をお聞きしていると時代は、病気を治療するにとどまらず、ひとりひとりの権利や尊厳を保ちながら、疾病を抱えながらもその人らしく生涯をおくる事に重点が移りつつあります。そのような医療界全体の動きの中で、10年前20年前よりは状況が改善された精神科看護とは言え、立ち遅れている現状がまだまだあると再認識させられます。

 一般科では、ありえない状況がまだまだ精神科には当たり前の事として存在しているということです。患者が一同に会して食事をする光景(自立者の多い開放病棟であっても)、そこまで観察、監視?しなければならないのか…、
私達、病棟勤務の看護師は気づかなかったりするのですが、施設から入院してきた患者のレベルが退院の時に落ちて退院してゆくことがとても多いという現実があるそうです。
今までできていたことができなくなって帰ってくるとか、人任せになったり、依存的になってしまったりということでした。一つの大きな要因として臨床現場にいるスタッフが、施設で生活している対象の本当の姿を知らない場合が多いようです。止むを得ないことのようにも思いましたが、病棟勤務のスタッフもPSWなどを通して施設との連携・つながりを持つ努力をしていかなければならないと感じました。

 これからの看護でもう一つ大切な視点として患者の強み、プラス面をとらえる力を養うことが大切だということです。看護師は対象を観察し、アセスメントすることによってその人の問題点を見抜く力に非常に長けています。また、そのように看護の教育課程でその力を身に付けています。しかし、反面、対象の「強み」をとらえる力が弱い、安全面や危険の回避という側面もあり、患者の限界をスタッフが決めてしまい、患者の可能性や能力を低く見てしまいがちになっているという話がありました。これは、先ほどの患者の生活レベルが落ちて帰ってくるという話にもつながっているのでしょう。

 これからの精神医療は、患者の「できる力」と「強み」に目を向けて、もちろん安全を護りながらも、時には挑戦によって患者の「強み」や可能性を伸ばすこともこれからの看護には必要であると感じました。
 この研修では、受講者一人ひとりの感じたことや思いをグループワークでまとめて発表することをあえてせず、各人の中にあるこれからの精神科看護を持ち帰ってもらうとのことで研修が終了しました。


 この研修の最後に私が目指すこれからの看護への思いは…

・すべての患者に生き甲斐、楽しみ、希望を与えたい。
・マンネリの日々ではなく、充実した日を一日でもより多くしたい。
・何らかの形で退院をイメージでき、家庭、施設などでの新たな生活への希望を与えたい。
・退院後も様々な社会資源を活用し、必要ならば病棟スタッフもかかわりを持っていけるような体制ができないだろうか。


日常の仕事限られた時間のなかで、この研修で感じたこと、自分も知らず知らずのうちに「言ってもダメかな」と諦めかけていたこと、少しずつでも実践できるようにしたいと思います。大切なのは、軸がぶれない様に患者中心の仕事を常に心がけ、そして「これからの看護」の思いを持ち続ける事で、すぐに現状は変わらないかもしれないけれど、良い方向にいくよう努めたい…、そんなことを感じた研修でした。

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