自傷行為の患者様を救命する

 ある日の夜勤勤務、平穏な状態で順調にルーチンワークをこなし、これから眠前薬を患者様に配布する準備をしていました。

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 病院の全館放送で「〇〇病棟 △号室 お願いします。」と・・・、

緊急コールなら、場所の前に決まり文句が入るのですが・・・、

病棟の放送を全館で間違えて流したのかもしれないと思いました。

もう一度、同じ放送が流れました。

決まり文句がなくても、緊急コールかもしれないと判断し、相勤のヘルパーさんに後をお願いして放送の病棟へ向かいます。

 途中、AEDを保管箱から取り出し急行します。AEDをとりだすとけたたましくブザーが鳴り響きます。

○○病棟の入り口で当直医と会い、二人で走って現場に向かいます。

目的の部屋の少し前で、嗚咽(おえつ)し泣き叫けんでいる患者がヘルパーに抱えられながら連れて来られていました。

 これは、ただ事ではないと察し、すれ違った直後にたどり着いた部屋

そこで目にした光景は・・・、血の海と化した部屋。

部屋の入口付近に患者様が横たわっており、右腕から血が噴き出しています。

救急カートも到着し、ガーゼで圧迫止血を試みますが、どんどんと血がにじんできて止まりません。

ひもで上腕腋窩側を縛って止血せねばなりませんが、すぐに紐が見つかりません。

患者様は、意識があり、「お願いだから、このまま死なせて・・・」と繰り返し私に訴えかけます。

「ここは、病院で私たちは命を守る義務があるので、絶対にあなたをここで死なすわけにはいかない」と返します。

紐が見つかるまで、とりあえず駆血帯で腕を縛り、圧迫止血を続けます。

止血できたわけではないですが、とにかく体外への血液のこれ以上の流出は何とか食い止められます。

ビニール紐が来たのでこれで腕を縛り、棒を挟んで回し止血をします。

 血だまりの近くに紙が落ちています

「いままで、本当にありがとう。 ごめんなさい」と書いてあります。

ドクターが、止血できたか一度確認するということで、ガーゼを外しましたが、噴水のように血が飛び出てきました。

 精神科単科の当院では対応困難ということで、救命センターと連絡をとり救急車を要請しました。

反対の左腕からルート確保し、輸液を全開で投与を続けます。

到着時、80程だった収縮時血圧も140近くに戻ってきました。

とりあえず、急場は脱しました。

患者様も、少し落ち着きを取り戻し・・・、「私はね、ここの血管がよく出ているから、ハサミで切ったの・・・」と

わたしに話してくれます。

救急隊が到着し、止血、輸液を継続しながら、救命センターへ、その病棟の看護師が付き添い出発していきました。

血管を縫合してその日の深夜にその患者は戻ってきたそうです。

あと、10分発見が遅れていたら、救命は無理だっただろうと当直医は言っていました。

ホントに早く発見できて良かったと思いました。

しかし、何がその患者様に命を絶つ決断をさせたのか・・・、

助かったから良かったものの・・・、心のケアがこれから必要です

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この記事へのコメント

2013年05月04日 15:27
修羅場だね~大変なお仕事お疲れ様です。
2013年05月04日 20:06
ホント精神科ではあらゆる事態を想定しないとと思いました。
自分の経験では食器の縁が欠けた部分を使って根気よくリストカットしようとした患者さんがいました。
幸い監視カメラ付きの保護室だったので事なきを得ましたが・・・
普段気がつかないものでも患者さんにとっては身体を傷つける道具になってしまうんだと思い知らされる出来事でした。
としおちゃんへ (GAKU)
2013年05月04日 22:21
としおちゃん、コメント有り難うございます。
大量出血、そうそうお目にかかれない状況で緊迫した感じでした。命が助かって本当に良かったです。
この夜勤、気持ちが高ぶって朝までハイテンションでした。
気ままさんへ (GAKU)
2013年05月04日 22:28
気ままさん、コメント有り難うございます。
私たちが普段、当たり前に使用しているもの、特に危険とは思えないものでも状況によっては危険な物品になります。こんなことはそうそうある事ではないのですが、やはり気を付けておかないといけませんね。巡回はしているものの、手遅れになる前によくぞ発見できたと思います。
へなちょこ
2013年06月04日 00:53
おもしろいぶろぐですね。
またあそびにきます
へなちょこさんへ (GAKU)
2013年06月04日 06:20
コメント有り難うございます。
色々なテーマがありますので、また来てください。

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