モイスト ウンド ヒーリング (傷の湿潤治療)

私が子供の頃は、擦り傷や切ギズなど、怪我をすると・・・

早く傷を乾かして乾燥させ、瘡蓋(かさぶた)を造って治す事が一般的な常識でした。

瘡蓋(かさぶた)は、皮膚の欠損部をカバーするためにでき、その下に新しい皮膚が形成され、傷が治癒します。

しかし、治癒のスピードが遅く、傷跡が残る点が指摘されています。

特に膝や肘などの関節部の瘡蓋はひび割れて治るのが特に遅くなるし、痛いです。


傷は、消毒剤や薬によって治るものなのでしょうか?

たくさん、薬を塗ったり、毎日ガーゼを痛い思いをしながら剥がして消毒することが早く治る方法なのでしょうか?

答えは・・・、ひとり一人に備わった自然治癒力にあります。

傷から出る浸出液には、傷を治そうとする因子がたくさん含まれており、その因子が湿った傷の表面を泳いで行って修復していると考えていただければ良いと思います。
傷の表面が乾燥した状態は、治癒が遅れることになります。

消毒液は、有害な菌も殺すけど、傷を治そうとする因子も殺してしまいますし、傷の表面の細胞にも多少のダメージを与えます。

そして、ガーゼを毎日交換することは、せっかく出来かけている新しい皮膚を痛い思いをしながら一緒に剥がしている事になります。

最近では、傷から出てくる液(浸出液)を閉じ込めて、傷の表面を適度に湿った状態にして治す

『モイスト ウンド ヒーリング』

という方法が一般的になりつつあります。

フィルム状の創傷被覆材(ドレッシング材などとも呼ばれています)で傷を覆います。
適度に湿った密閉された状態にして、細胞成長因子(傷を治そうとする物質)が働きやすい環境を作ります。

擦り傷などでは、ヒリヒリとした痛みが少なく、早くきれいに皮膚が再生されます。

ただし、「適度に湿った状態を保つ」というところがポイントで

ドレッシング材の中に浸出液が溜まった状態になるのは、細菌の温床になることがあるのでよくありません。

また、傷が化膿している場合は、被覆材を使わず消毒剤で細菌の数を減らす処置を繰り返し、

創部がきれいになってから行うことがよいです。


先日、医療従事者を対象とした

「関西創傷セミナー」にいってきたので・・・、

研修レポートを公開します。つたないレポートですが、興味のある方はご覧下さい。

 関西創傷セミナーに参加しましたので報告いたします。
主催のスミス・アンド・ネフュー・ウンド・マネジメント株式会社はイギリスの会社で褥創や手術創の被覆材料で有名な会社である。
 会場では最新の被覆ドレッシング材や保湿ローションなどの展示や解説がなされていました。実際に医療材料が展示してあるコーナーで従来の被覆材であるオプサイトとIV3000という最新のドレッシング材の水蒸気透過性を比較する体感実験もあり、その有効性を実感することができました。IV3000は、水蒸気透過性が高く、外からの水分や細菌を断つ一方で被覆部分の余分な水分を水蒸気として蒸散させ創傷部を理想的な状態にコントロールできるということでした。貼った感じは、オプサイトに比べてスースーと清涼感があります。
 今回の講演で創部に関する私の曖昧であった知識が明確になり、肉芽の発達のしくみ、感染のしくみを知ることが出来て大変有意義なものとなりました。
創傷ケアは、私が子供の頃の「傷は乾かす」というものとは異なり、適度な湿潤状態を保つことによって人が本来持つ治癒能力を最大限に活かす環境をつくることが現在の常識となっています。ラップ療法などもそれに基づく療法の一つでしょう。
 しかし、一方で浸出液が多く、ドレッシング材の内部に体液が貯留する様な状況は細菌感染の温床となることを講演者の研究や実験の結果から知りました。細菌のコロニーは、肉芽の中にできることはあまりないそうで実際にはガーゼや被覆材の内側に溜まった浸出液の中に一番多いそうです。分圧対策やドレッシング材の内側の環境を少しコントロールするだけで目に見えて創傷の治癒が進行するということでした。
創傷部の湿潤状態をいかに適切な状態に保持することが大切かを知りました。
 また、「創傷ケアにおける看護師の役割」という演題で認定看護師教育課程主任教員の佐藤 文 講師よりお話がありました。日頃、私たち看護師が行う処置や援助の中でいかに創傷の予防・治癒環境を整えるかが肝要であるという内容でした。
褥創予防という観点では、身体の屈曲部とベッドの屈曲部を合わせてギャッジアップすることの大切さ、そしてその後に身体とベッドのズレやひずみを除去するための「背抜き」をすることが患者の不快感を解消し褥創予防に大きな効果があることを学ぶことができました。
 創傷のケアにおいては、創部の状態を判断しながらドレッシング材を使い分けたり、創部周辺や好発部位に撥水ローションを活用するなどの工夫で環境を整えることができるということでした。よく教科書などを読み返してみれば援助の基本として記載されていることも多く、今一度、基本に立ち返ることの大切さを実感します。
ケアの良し悪しは、私たち看護師の「適材適所の状況を見極め、判断する目を養う」ことにかかっているということでした。

 創傷ケアに今まで深く関わったことがあまりなかったので、今回の研修はとても有意義で興味を持てるものになりました。当院においても患者の高齢化が進み、ほぼ終日、臥床経過を余儀なくされる患者様が増える傾向にあります。このような状況の中で褥創の予防や創傷ケアの重要性は今後益々高まってくるように感じます。
そして他のスタッフにも思いを伝え、患者さんが床上経過であっても快適な援助が提供できるように努めていきたいと思います。

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この記事へのコメント

2010年07月04日 01:42
自然治癒力、神秘の世界ですね。歳がいったのか若いときより、小さい傷の治りが悪くなったような気がします。
2010年07月04日 08:29
傷につけてたのは唾でしたね~
蓬をすりつぶして当ててたことも
傷から出てくる浸出液なんでしょうね~
出たらそのままにしてました。
最近は治りが遅くなったと…歳だ~
2010年07月04日 09:29
としおちゃん、コメントありがとうございます
人間の身体や生体のしくみは、神秘と不思議にみちています。
2010年07月04日 09:35
ken/南関さん、コメントありがとうございます
子供の頃は、ツバをつけたりして色々なことをやりましたねぇ。
 蚊に刺された時は、爪で十字に爪あとをつけて「吸血鬼には十字架」なんてことをよくやっていました。なんの根拠もない子供的な発想でしたが結構みんなやっていましたよ

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