亡くなった患者さまへの思いはあるの?…、なんでそんな言葉しか出ないんだよ!

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先日の夜勤入り、もう入院歴○×年前後のIさんは、当病棟の代表選手みたいな人でスタッフからも愛される存在である。しばらく前より、イレウスから全身状態が悪化し睫毛反応もないくらいレベルが落ちていた。
家人の意向により延命処置はしないということだった。深夜帯に入り100以上あった血圧は70…、60…と落ちてゆく。
当直医の指示のもと対応してゆく。酸素4~6ℓ流量下でSpO2は、95%を維持しているが、頻呼吸になり浅くなっていく。
明け方の5時過ぎ、モニター・フラット(心停止)! 約20分の心臓マッサージ(CPR)で心拍が回復し、自発呼吸が出た。
数分で消えてしまう命が長らえた。すごい! CPRの効果を身をもって実感した。
朝7時やっと両親が到着した。全く意識のないように見えるIさん、でも聴覚は最後まで残るっていうから…、きっと両親の声が聞こえているよ。
両親が声を掛けると開いたままのIさんの目から涙がこぼれる。生きてるうちに間に合ってよかったと心から思う。
夜勤の申し送りが終わり直ぐにIさんは両親に見守られて逝きました。

そんな大変な夜勤を共に過ごした相勤スタッフのAさん、当たり前のように「休んできます」と時間ちょうどに仮眠。
全然、悪いことじゃないよ、当たり前といえば当り前?…、でもね…。 必然的にNsは仮眠なしの夜勤となりました。
夜勤帯が終わった直後、Iさんは亡くなり体は、まだ暖かい。
詰所の休憩室付近での会話。
 Aさん:「もう、かえっていいですねぇ?」
  私 :「お線香の一本でもあげて行かないんですか?」
 Aさん:「えっ・・・。」(なぜ…というような表情)
     「まだまだ、時間がかかるんでしょ」
  私 :「もうすぐ、霊安室へ運びますよ」
Aさん:「わたし(看護師じゃないから)残ってても何もできないから…」
  私 :「・・・」(言葉がでない、看護師じゃなくても何でもできるだろう!ライセンスなんて全く
関係ない、一緒に安置しにいくことくらい出来るだろう!線香一本立てることに
看護師の免許がいるというのか!)
 Aさん:「じゃぁ、残業時間つかないけど、わたしは残っておけばいいんですね」
  私 :「・・・」 
     開いた口がふさがらないとは、まさにこの事!顎がそのまま床まで落っこちて
しまうくらいショックを受けた。 Iさんと最期の壮絶な夜を共にしながら、
この人、自分が帰ることしか考えていない。こんな薄情な人いるの…。
     こんな人が無理にイヤイヤ残って線香たててもIさんに失礼極まりないよ。
     「じぁ、疲れているだろうから直ぐ帰ってもらっていいですよ、後は大丈夫ですから気を
使わないで下さいね。お疲れ様でした。」
     心のうちとは裏腹に、満面の笑みで送り出し、気持ちよく帰っていただいた!Iさんは、病棟の人気者。部長先生、看護部長、他病棟の看護師、休みだった師長もバイクでお見送りに駆けつけたよ。
Aさんは、同じ職場の仲間でもあるし、勤務中、手を抜いてる訳でもないし…、考え方の違いなのかなぁ。でもね…、人間として大切なものが抜け落ちてない?
このAさんとの会話のやり取りは病院の誰にも話していない。話すと結果的に責めることになっちゃうもんねぇ。
心の中でいろんな思いが葛藤し、倍の時間を費やしてフラフラと帰った。
自転車を力なくこぎながら思った。「あっ、そうだ!Aさんは、きっと大切な約束があったんだよ。きっとそうに違いない。『Iさんごめんね』って思いながら帰ったんだよ。」
もう、そう思わないと自分がたまらない、やってられない。
何処にも持っていけない、この葛藤、ブログにぶちまけました。ごめんね。



2007/2/20 編集追加
「ブログ書こうよ トラク場」のお題が更新されました。
第30回のお題は「病気にまつわるエトセトラ」です。
http://torakuba.at.webry.info/200702/article_3.html

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この記事へのコメント

ちいこ
2006年03月25日 10:29
辛いですね。
情が入れば入るほどお別れが辛いでしょう。
人はいろんな性格の人がいるものです。Aさんのようにクールに患者さんに接する人もいるでしょうし、GAKUさんのように優しい心の持ち主の方もいて・・・Iさんは心の優しい人達に見送られて良かったのだと私は思いますよ。
2006年03月25日 11:19
「ちいこ」さん、早速のコメントありがとうございます。
少しでも多くわかってくれる人がいるとホッとします。
相勤者の皆さんが夜勤での役割を果たしているから、私もIさんにしっかり関わることが出来たのですよね…、きっと。職場のメンバーに感謝しないとね。感情的になって他言せずに良かったです。コメントを頂き、自分自身の振り返りもできるような気がします。
のんちゃん
2006年03月26日 13:07
人の死。誰しもそれに向かって、日々を過ごしています。毎日毎日必死に、愛する家族の幸せを願って、悪戦苦闘する不器用な私ですが…(>_<)今の私でも誰かの心を、幸せに出来るかな?と思いながら日々過ごしています。その為には、早く社会に貢献出来る様に元気にならないとね
2006年03月28日 15:07
GAKUさん、ご来訪ありがとうございました(^^*。癒される記事が沢山あって時々来させて頂こうかと思います。AさんにとってIさんは患者さんの一人だったのかも知れませんね。全ての患者さんに感情移入しているともたないのでバランスが難しいと友人の看護師に聞いた事があります。でも人としては線香の一本くらいあげようという気持ちは失いたくなくても、毎日毎日だと麻痺するのかも、、大変な仕事ですが自分が患者の時は看護師さんは本当に頼りなのでめげずに頑張ってください。
2006年03月28日 15:46
宮乃さん、コメントありがとうございました。
長期入院されている患者様には、情が入りますねぇ。
お互いに、毎日を精一杯がんばって生きましょう。
ときどき、休みながらね。
2006年04月02日 00:09
GAKUさんの憤り、とてもよく伝わっています。
そういう人、どこにもいますよね。どこの病棟にいっても1人はいるな。
でもそこでナースステーションで怒りをあらわにせず、波風をたてないようにした貴方は偉い!!
 そういう人は、言っても無駄だし、感性が全く違うのだから、気にしないことです。怒る分だけ自分が損するみたいですよ。私も経験上いろいろありますが。気にしない気にしない。
2006年04月02日 01:20
「おたんこナース」さん、コメントありがとうございます。「死に直面…」シリーズ記事いつも拝見しております。勉強になります。
また、ブログにちょくちょく遊びに行きますね。
2006年04月03日 19:33
こんばんは。本当によくある場面ですよね。なんというか・・・仕事柄の慣れっていう言葉があてはまるのかわかりませんが・・。こういうのには、慣れてはいけないと思います。確かに自分に関係ないことだとは思うけど、でもね・・・一人の人としてどうかと思います。
昔、新人だったころに「素直に亡くなった人に対して泣けるのは大切な感情」といわれたことがあります。つまり、悲しいと感じなくなってはダメなことなのだと思います。仕事としてではなく、一人の人としてこれは大切なことなのではと私は思います。
2006年04月04日 09:15
noiceさんコメント有難うございます。
そうなんですよねぇ。まず、医者、ナースやヘルパーである前にひとりの人間として…、なんですよ。病棟によっては毎日のように亡くなる方がでるところもあり「死に慣れる」ということも仕事を続けていくためには大切なのかもしれないです。でも「共に喜び、共に悲しみ、そして誰かのために精進して自己を磨き、役立てたい」という姿勢を目指したい、いつもこんな気持ちでいるかと問われれば自信ないけど、そんな自分であるように努めたいですねぇ。
2009年06月10日 18:01
医療に携わっている人でも、みんなそれぞれなのですね。。ある意味で「慣れ」なのでしょうかね。。
私、新人の頃、先輩ナース達が医師到着前にCPRで蘇生させた現場を目の当たりにし嬉しくて泣いたことがあります。その時の、私を見る先輩達の冷めた目ったら・・・。まぁ、泣いてる暇ないでしょ!ってことだと思います。
2009年06月10日 20:18
さくらこさん、コメント有難うございます。
病棟の科によっては、日常的に逝く人を送り出す病棟もあるでしょう。ある程度の慣れもあるでしょう。
 でも、命を敬い、その人の人生に敬意を表する姿勢は持ち続けていたいと思います。
 悲しみや感動の気持ちをストレートに出して泣ける事って人として大切なことだと思います。

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